週末の3日間は、慈恵医大の個室で過ごすことになった。せっかくの「休日」だ。この経験を自分の転換点として前向きにとらえよう。3週間後には中国重慶で予定されている学会発表が迫っていた。しかし、ギプスと松葉杖姿での発表は気がすすまない。これはキャンセルしかない。ところが、日本代表として同行する先輩の『高須クリニック』高須克弥先生から電話が入り、「アキレス腱断裂は私も経験しだけど、縫合を行えば、3週間もあれば学会くらい平気ですよ。空港には車椅子を手配するから、ぜひとも参加してください」と直々の励ましのお言葉。ということは、キャンセルなしか。ウレシイのかカナシイのか、複雑な気持ちで高須先生の心配りに感謝した。そして、学会発表の準備に本腰を入れ直した。病室には次から次へと友人が励ましにやってきてくれた。ふだんからの交友関係の大切さが身にしみてわかるのも入院のおかげだ。と、何でもとにかく「前向き」に受け止める。それにしても、毎日、規則正しい生活をしている。朝7時過ぎには看護師さんたちが、検温、点滴などの処置にやってくる。眠たい目をこすりながらも起きなければならない。個室なので、夜更しも可能だが、朝早くに起こされることを考えると、早めに寝なければならない。朝食も毎日出てくるのだが、ここしばらく朝ごはんを食べる習慣がなかったから、食べるのが大変だ。朝食を食べても、あっという問に昼食、そして夕食が待っている。規則正しい人生とはかくも忙しいものか!普段は1日にI食半しか食べない私にとって、3食きちんととることは結構億劫でしょうがない。しかし、この3日間は意外にも充実している。日々の診療に追われず、ここまで自分自身の時間を持つことができたのは本当に久しぶりのこと。ホームページの更新、雑務の整理、学会の下調べ等で時間はあっという間に過ぎ去ってゆく。入院生活は残りあと1日となったが、回復に向けて安静を心がけている。サッカーの熱狂の裏に、こんな水たまりのような休息があるとは。皮肉な話ではないだろう。私の人生の走行が一時停止を求めていたのだろう。と、これも前向きに考える。そして、「前へ前へ」とつぶやいてみる。