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四十代の自画像

大部分の人は、自分のキャンパスをもっていない、二十代から描いてこなかったように映るんです。そして、「高校の時の、あの姿で会おうじゃないか」という気持ちでやって来る。ジジイが、気持ち悪いんですね、高校時代のありもしない「自画像」をひっさげてくるなんて、とつい思ってしまいます。よく観察していると、結局、自分の絵を描くことに、手抜きがあったし、やり方がまずかったということがわかります。もちろん、人さまざまですから、とやかくいうことはできませんが、手抜きの結果が如実に現れる。クラス会では禁句があります。現在の地位や身分(女性なら夫の身分)、つまり、仕事のこと、資産のことに触れてはいけない。子供の進学先や就職先も、迂回した方がいい。結局、趣味のこと、健康のことが無難ということになる。でも、こんなだけのつきあいは、じつにつまらないでしょう。それで、二次会でカラオケで騒いで終わり、というパターンになります。しかし、もっといやなのはこんなことがあるからです。中学校の同期会のことでした。少し酔ったF君がやってきて。「俺は君にいじめられた。修学旅行で、『お前みたいな貧乏人、一緒の席に座るな。側に寄るな』といわれた」というのです。F君はいじめられたのですから、覚えてるのですね。もちろん、私の方は忘れています。ここで、君は昔はひどい奴だった(事実、私はある種の悪ガキだった)、といえば終わったのでしょうが、繰り返し、繰り返し、同じセリフをいうのです。つまり、からみですね。私もいけずな気持ちになって。「F君、もう一回いじめられたいがために、そういうの」とつめたら、真っ青な顔になった。これって、双方にとって、つまらないね。四十歳になったら、ちゃんと、自分はこうなんだよ、といえるようにならなければいけません。自画像ですね。何も、四十までにというように、長期に考える必要はない。まず、大学四年間で、どんな姿になりたいのか、そのためにどうすべきか、という企画立案をしなければなりません。モデルチェンジのための準備です。その後は、実行です。その結果として、四十代の自画像がある。
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