アーカイブ

大人のための記憶術

心理学の立場では記憶は三段階(入力、貯蔵、出力)に分けられることが多い。その各々の伸ばし方を紹介したわけだが、中高年であっても考え方はまったく同じである。あえておさらいをすると、入力段階である記銘をよくするには、理解と注意のレベルを上げることだ。ところがここに意外な落とし穴がある。歳をとるにつれて、わからないことを人に聞くのが恥ずかしくなったり、おっくうになったりする。またある一定以上の年齢では、というようなことがある。それが災いして、えられないのである。初心者向けの入門書が恥ずかしくて読めない。きちんと理解できないから、学んだ内容が覚えられないということがあるのだ。ちょっとした見栄を捨てて、理解に努めることで記憶力がかなり蘇ることが期待できる。注意にしても、関心のレベルは低下しがちだ。話を聞いたり、本を読んだりしていてもどこかで聞いたことのある話だなとか、つまらないと思えば、記憶には残りにくい。さらに集中のレベルも下がるかもしれない。寝不足やお酒の問題がある人も若いころより増えるだろうが、それ以上に、さまざまな心配事が増える世代でもあるからだ。家庭の問題一つをとっても、親がだんだん歳をとってくると、将来の介護や健康状態などが心配になるだろうし、子どもの受験や思春期の問題などは親にとって一大事だろう。自分自身の健康問題や将来の不安もあるだろう。この手の不安の最も簡単で実用的な解決法は、誰かに話を聞いてもらうことだ。中高年にとって気の置けない話し相手や親友をもつことは、実は勉強の大切なサポートになるのである。このような形で、いろいろな不安のテンションを下げることができれば、注意のレベルが上がり、記憶力の維持に威力を発揮するからだ。記憶の第二段階である貯蔵については、復習しかないと述べたとおりだが、これにしても、歳を重ねるほどにおっくうになるようだ。